傷病手当金をもらうための条件・もらえる期間、退職後も継続して受給する為のポイントを社会保険労務士がわかりやすく解説しました。

このまま退職しても、退職後も傷病手当金はもらえるの?

このまま退職しても、退職後も傷病手当金はもらえるの?

「健康保険一般被保険者期間が、退職日までに連続1年以上有ること」が条件です。

退職日までに健康保険一般被保険者期間 が「連続1年以上」有ることが条件です。

 会社(保険者)が異なっていても、「退職日までに健康保険一般被保険者期間が「連続1年以上」有ればOKです。
 下に、例を図解します。
退職日までに健康保険一般被保険者期間が連続1年以上の例


退職日までに健康保険一般被保険者期間が連続1年以上の例

健康保険一般被保険者期間を通算して10年以上有っても、退職日までに健康保険一般被保険者期間 が「連続1年以上」無い場合は「退職後(一般被保険者喪失後)の傷病手当金」は、もらえません。

 もらえない例を下に図解します。
退職日までに健康保険一般被保険者期間が連続1年以上無い例




退職日までに健康保険一般被保険者期間が連続1年以上無い例



在職中は傷病手当金の申請手続きを一切していなくても、退職後に初めて傷病手当金を申請&受給は可能です。

  • ただし、退職の仕方を誤ると、退職後の傷病手当金は一切もらえなくなります。ご注意ください。
    • 傷病手当金の時効はその日毎に2年間ですので、在職中に申請していなくても、過去2年以内の分であれば申請は可能です。
      • 健康保険法第193条: 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によって消滅する。
  • 在職最後の期間は、退職後に傷病手当金申請手続きを行います。
    在職最後の期間は、退職後でなければ傷病手当金の申請手続きはできません。
    • 傷病手当金は、「過去の労務不能期間」を申請手続きしますので、「在職最後の期間は、退職後でなければ傷病手当金の申請手続きはできません。
       つまり、「在職最後の期間」については、退職後に「退職日まで在職していた会社」を通して手続きをするのが原則です。
       理由は、「在職最後の給与計算期間」のうちの「傷病手当金申請期間」について「賃金・手当等がいくら支払われたか?」を会社により「事業主記入欄」に記入してもらわねばならないからです。
       「傷病手当金の額<傷病手当金申請期間の賃金・手当等の額」の場合には、傷病手当金は不支給(今回の傷病手当金については支給停止)となります。しかし、受給権(もらう権利)は獲得できるので、傷病手当金が今後一切もらえないわけではないです。
      「傷病手当金の額>傷病手当金申請期間の賃金・手当等の額」の場合には、「傷病手当金の額-傷病手当金申請期間の賃金・手当等の額」が傷病手当金として支払われます。このケースは、非常に少ないです。
    • 全国健康保険協会に加入している場合(又は退職日まで全国健康保険協会に加入していた場合)は、「事業主記入欄」を会社に記入してもらい、それを自宅まで郵送してもらい、「被保険者記入欄」を自分で記入して「療養担当者記入欄」を医師に記入してもらえば、「被保険者記入欄(記入済み)」・「事業主記入欄(記入済み)」・「療養担当者記入欄(記入済み)」の状態になるので、自分自身で全国健康保険協会に提出することが出来ます。全国健康協会の場合は、出勤簿(コピー)・賃金台帳(コピー)は不要です。
       しかし、健康保険組合の場合は、在職期間については、出勤簿(コピー))・賃金台帳(コピー)の提出を要求するのが一般的なので、健康保険組合に加入している場合(又は退職日まで健康保険組合に加入していた場合)は、「在職期間分の傷病手当金申請」については会社を通して傷病手当金の申請手続きをせざるを得ません。
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  • 強く注意すべきこと。
    • 退職日を含んだ在職最後の4日間(有給休暇でも公休日でも欠勤無給でもOK)は出勤しないこと(在宅ワークもしないこと)です。「出勤、在宅ワーク=労務可能=傷病手当金の対象外」となりますので。
      • 例:令和6年 7月31日が退職日の場合
          令和6年 7月28日から令和6年7月31日までの4日間は出勤しないこと(在宅ワークもリモートワークもしないこと)です。在職最後の4日間が全て有給休暇でも全く問題無いです。もちろん、在職最後の4日間が欠勤でも公休日でも問題無いです。ポイントは「在職最後の4日間が労務不能であること」です。「出勤、在宅ワーク・リモートワーク=労務可能=傷病手当金の対象外」となりますので。
    • また、通院(又は入院)間隔があまり長くなると医師が「医師記入欄(療養担当者記入欄」に記入してくれないので、定期的に通院しましょう!
    • 例えば、「在職最後の5日間」しか会社を休んでいない場合(欠勤でも有給休暇でも公休日でもOK)は、下の図の様に通院すると良いです。
      在職最後の5日間しか休んでいない場合
    • 上の図のケースの場合、傷病手当金申請期間である「令和6年7月27日から令和6年7月31日(退職日)まで」の5日間のうち、最低1日は通院(又は入院)して下さい。
    • もちろん、傷病手当金申請期間である「令和6年7月27日から令和6年7月31日(退職日)まで」の5日間の前後の期間に通院(又は入院)していないと、医師は記入してくれません。上の図のケースだと、「令和6年7月16日の通院日」と「令和6年8月13日の通院日」です。

会社在籍期間(退職日を含んだ期間)から申請します。

以下の2通りのケースに分かれます。

在職中は会社から給与・手当等が支払われていたために傷病手当金を申請していなかったケース
傷病を患って会社を欠勤(無休)してから退職日までの期間が短いケース

退職日までの在職期間分を1回も申請していない場合には、上記の2ケースのいずれの場合にも、在職最後の期間分を「第1回目」として申請することが必要となります。在職期間分について1度も傷病手当金を申請していない人が、退職後に退職後期間分のみを申請しても傷病手当金はもらえません。
 在職最後の期間分を退職後に申請することは可能です(問題ありません)。
 在職最後の期間分については、在職中に申請する必要はありません。というか、在職最後の期間については、退職後に申請するしか方法がありません。ただし、退職してから長期間経過してしまうと、医師が「労務不能」の証明を書いてくれない可能性が有りますので、退職日から3ヶ月を経過する頃までには「第1回目」の傷病手当金申請をしておくことをおすすめします。

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  • 退職日までの期間で労務不能により欠勤している期間(又は有給休暇期間あるいは公休日)が含まれている場合には、会社を経由して在職中に自分の加入していた保険者(健康保険協会又は健康保険組合)に「傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)」を提出します。※郵送でもOK.
  • 段取りとしては、
  • まず、会社(又は健康保険協会・健康保険組合)から「傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)」をもらう。又はパソコンから傷病手当金支給申請書(傷病手当金請求書)をダウンロードする。
  • 病院で医師に「療養担当者が意見を記入するところ」の欄を記入してもらう。
  • 申請者本人記入欄に記入する。
  • 会社に提出(郵送)し、会社記入欄に記入してもらい、あとは会社の担当者に手続きをしてもらいます。


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