傷病手当金をもらうための条件・もらえる期間、退職後も継続して受給する為のポイントを社会保険労務士がわかりやすく解説しました。

契約社員を契約途中で解雇できるか?

契約社員を雇用契約の途中で解雇できるか?

原則はできないが「やむを得ない事由」がある場合は可能です。

では「やむを得ない事由」=「雇用契約途中で解雇OKの事由」とは?

  • 以下に例を挙げます。
    • 重い病気などにより契約社員が労働不能となった場合
    • 業務上横領などの悪質な非違行為等を契約社員がした場合
    • 天災事変や経済的事情による経営不振により会社が事業を継続していくことが困難となり、その結果、会社が解散する場合。
      • 会社が経営不振といっても、事業の存続に影響しない程度の経営悪化では契約社員を契約途中で解雇できる「やむを得ない事由」には該当しません。
      • また、会社解散でも、吸収合併の場合における会社解散の場合には、新設合併される会社において会社の事業自体は継続されますので、契約社員を契約期間の途中で解雇することは困難だと判断されます。
  • しかし、契約社員を雇用契約期間の途中で解雇する場合の判断はケース・バイ・ケースとなります。
  • 契約社員(3ヶ月・6ヶ月・1年等の有期雇用契約を締結している社員)を解雇する場合には一般正社員を解雇する場合よりも厳格に判断しなくてはいけません。 
    • 契約社員(有期雇用契約社員)の解雇が有効とされるおおよその基準
       期間満了まで雇用を継続することが不当若しくは不公平と認められるほど特別重大な事由であり、正社員(期間の定めのない社員)を解雇する基準である「客観的に合理的で社会通念上相当と認められる事由」(労働契約法16条)よりも厳格です。
  • 「やむを得ない事由」であることの証明は会社側にあります。
    • 契約社員(有期雇用契約社員)について契約途中で解雇することが有効であることの立証責任は会社側にあります。従って、会社は雇用契約期間中には簡単には解雇できなくなります。
      • 会社は有期雇用契約を結ぶ際には、その雇用期間については慎重に判断しなくてはなりません。
  • 重い病気などにより契約社員が労働不能となった場合
    • 契約社員の病状について医師から発行してもらった診断書をもとに、契約社員と会社の担当者が話し合いをし、労働時間や労働日数を短くしたりしながら、契約社員の病状・働きぶりをみていったが、契約社員の労働の質・内容が会社の期待する仕事の質・内容とはかなり差がある場合には解雇が有効とされる可能性があります。
      ⇒ 病状が非常に重い場合
      • この場合においても解雇は慎重に判断しなければなりません。
  • 「解雇」には数学のような明快な正解はありませんので、ケース・バイ・ケースで判断することが必要になります。

法的根拠=労働契約法第17条1項+民法628条

  • 労働契約法第17条1項
    使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
  • 民法628条
    当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
  • 労働契約法第17条1項は、「解雇することができない」旨を規定したものであり、使用者が有期労働契約の契約期間中に労働者を解雇しようとする場合の根拠規定になるものではありません。従いまして、使用者が労働者を解雇をしようとする場合には、従来どおり、民法628条が根拠規定となります。

行政通達による解説

  • 行政通達とは法の解釈の微妙な部分の実際の運用についての役所内での取り決めです。つまり、役人は行政通達に従って仕事を行うので、国民も行政通達には原則従うことになります。

    平成20年1月23日 基発第0123004号

    • (ア)
      法第17条1項は、使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ契約期間中は有期労働者を解雇できないことを規定したものであること。
    • (イ)
      法第17条1項の「やむを得ない事由」があるか否かは、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが、契約期間は労働者及び使用者が合意により決定したものであり、遵守されるべきものであることから、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められる場合よりも狭いと解されるものであること。
  • 「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められる場合よりも狭いと解されるものであること。」とは、
    つまり、有期雇用契約を結んだ社員(契約社員)を解雇する場合には、一般の正社員(雇用期間の定めの無い社員)を解雇する場合と比較して、より厳格に判断しなければならないということです。

雇用契約書中に「契約が途中解除できる」と規定されている場合

では、「雇用契約期間中でも一定の事由により解雇できる」という内容が雇用契約書に規定されている場合は解雇できるか?;

  • その解雇が無条件に100パーセント有効になるとは限りません。
  • 個別のケースごとに「やむを得ない事由」に該当するかどうかを判断しなくてはいけません。要するに、ケース・バイ・ケースです。

行政通達による解説

平成20年1月23日 基発第0123004号

  • (ウ)
    契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合であっても、当該事由に該当することをもって法第17条1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断されるものであること。

業務上災害によって会社を休んでいる場合

業務上災害により負傷し休業している期間+30日間は解雇は不可

  • 労働者が仕事中に負傷し、そのために休業する期間とその後の30日間は、会社はその労働者を解雇できません。
  • しかし、契約社員(有期雇用契約社員)の場合には、「業務上災害で休業している期間~その後の30日間」の期間中に雇用契約が満了(雇用契約が終了)すると、その時点で雇用契約が終了となります。⇒ 「労働基準法:第19条1項」の適用はありません。

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